金属製品を作るには、こんな苦労がありました …生野銀山を深掘り

生野銀山 | 日曜日 5月 29 2016 3:26 PM |

生野銀山正門
「B670 久美の浜温泉の旅(1)」でご案内した、生野銀山は1200年の歴史のある鉱山ということで、その全容の一部でも、前回の記述量では語り尽くすことができませんでした。

特に、戦国時代から始まる、豊臣、徳川による銀山としての開発、明治以降の、銅鉱、亜鉛鉱、錫鉱の採掘など、坑道見学をしていく中で、その一片に触れることができます。

写真は、山道を走っていくと現れる明治の香り漂う「生野銀山」の正門の眺めです。

菊の紋章の入っている門柱が、江戸幕府→明治政府と経営を移し、さらに皇室財産となった当時を偲ばせています。


生野鉱物館前回には触れていなかった、入場門の前の駐車場広場にある「生野鉱物館(=生野銀山ミュージアム)入館料100円」です。※入場門の中にあるのは「鉱山資料館(無料)」です。

こちらには、江戸時代までの生野銀山、明治以降の生野鉱山の歴史、探鉱・採掘・選鉱・精錬の工程、鉱山町の町並み、鉱山文化などのパネル展示や、貴重な鉱物標本が展示されています。


鉱山資料館の坑道模型ちょっとややこしいのですが、こちらは入場門を入ってある「鉱山資料館」内の坑道模型で、長~い歴史の中で、銀鉱石やその他の貴重鉱石を求めて、人が掘り進んだ坑道の複雑な形が模型として展示されています。

これはまるで、アリの巣のようだと、見た人は誰も思うのでは。(本物の坑道の総延長は350㎞、地表からの深さ880m!)


観光坑道の入口この坑道の入口は、明治政府が招聘したフランス人技師フランソワ・コァニェが監修したフランス式の石組で、アーチ構造が、開鉱当時の面影を残しています。

この坑道は、近代坑道の金香瀬坑道の入口で、写真左側の階段を上って行くと、明治以前の露天掘りの跡が見られます。(※観光坑道の全長は、約1000m)


江戸時代の坑道先ほどの坑道入口を入って、しばらくすると、この「江戸時代の採掘再現場」が現れます。

この再現模型には「下財(ゲザイ)」と名札が付けられ、坑夫のことをそう呼んでいたようです。

彼らは、こうしてタガネと金槌で、人ひとり通ることのできる坑道(狸掘り)を岩に穿いながら銀鉱石を求めて掘り進んだのでしょう。


銀山醸成庫深い坑道の中は、年間を通して約13度に保たれているため、このような酒やワインの熟成庫が所々にあります。

この写真の「酒岳堂 生野銀山熟成庫」には、地元の朝来私立生野小学校の卒業記念のお酒(二十歳になって再会したとき用の祝酒)が貯蔵されています。


採掘機械展示さらに進んで行くと、ぐっと現代的な採掘風景(採掘機械類を展示)に遭遇します。

明治政府から払い下げを得た三菱鉱山は、この看板の通り、昭和48年(昔のことと思うか、割と最近まで稼働していたんだ、と思うのか、どっちでしょ?)まで、運営していまたようです。


サンドスライム充填採掘法さらに、採掘法も進化していったことが分かる展示もあります。
(と、言っても「サンドスライム充填採掘法」って、なんのことだか…)

調べてみますと、タガネと金槌の代わりに搾岩機で掘り進んだ結果、穴やガレキで足場が悪くなるので、採掘した鉱石から鉱物を抽出したあとの屑石や土を水に混ぜ、パイプで再び地下に戻して、足場固めに使い掘り進む工法のようです。


巻揚げ機その後も、掘った鉱石を地表に送る、こうした近代の「巻揚げ機」や、


揚がった先のトロッコその鉱石を、さらに上に運ぶトロッコ(坑夫たちも乗っていた)などの展示があります。

金属製品の元である鉱石類は、こうして鉱床を見つけ→掘り→運び上げ→鉱物を鉱石から抽出する作業で採り出す訳ですが、その作業をする人間への空気の送り込みや、湧出する水の排除、などなどがあってこそでした。


砕女(カナメ)観光坑道の最後の方で、また江戸時代の採掘作業が見られるのですが、最近観た朝ドラの炭鉱場面と重なって、こうした女性(多くは坑夫の奥さん)の仕事風景が、苦労を感じさせてくれます。

この写真(暗くてややボケですが)は、「砕女(カナメ)」といって、坑夫が採取した鉱石を、その後の作業がしやすい大きさに砕いているところです。


フランソワ・コァニェ像一連の坑道作業を観て、地上に出て来ると、わずか1㎞の観光坑道とは言え、外の明るさと空気のおいしさにホッとするのは、皆さんも同様でしょう。

迎えてくれるのは、明治政府に招かれて、生野鉱山を近代鉱山にしたフランス人技師「フランソワ・コァニェ」の像です。
(あの朝ドラの人気者・五代友厚さんが声をかけたとのこと)


熟成焼酎と日本酒前回の「久美の浜温泉の旅(1)」でもご案内した「おみやげ館」に、坑道内・熟成庫にあった「熟成酒」が販売されています。

どんな味(係りの方はまろやか、と)でしょうかねぇ。試してみたい方は、ぜひお買い求めを。


錫製品ほかもちろん、期待通りの銀製品を始め、錫製品(銀に見えますが)などの宝飾品も沢山展示されているので、ゆっくりご覧ください。

◆使用した写真は全て、2016年4月20日に撮影したものです。